掌がうすらぐ白昼へ、ゆく。

身体が好きなのですが、生の人間と触れあうのは怖いインポ野郎なので、言葉でもって色んなものを撫でています。

2019-01-01から1年間の記事一覧

水子とマジックミラー

売春という肉体関係の一つのあり方に、私は強く魅惑されてきた。折に触れて、川端康成の文学と、写真芸術とを享楽の対象にしてきたのも、この嗜好と深く結びついている。不能であること、そうありながら他者に触れること。 澁澤龍彦が、娼婦について興味深い…

娼婦の肌は冷たく 中編

白昼の靄 4 表現するとは、とりわけ写真という方法を用いて表現するとは結局いかなることなのだろうか。それはむろんのこと私の像(イメージ)の表出や、外化ではない。それこそ写真の最も不得手とするところのものだ。(…)写真を撮るということ、それは事物…

娼婦の肌は冷たく 前編

祈りにとどまる 0 何を書くべきか、どのように書きたいか、という恣意を諦めて、書かざるをえないように書く。そのような態度をもって私はこれから、いくつかの対象について言葉を尽くしてみようと思う。そのための準備として、私は何に魅せられているのか…

より激しくアイドルを崇めるために――山口真帆事件を発端として

今回の事件を知った当初、犯人たちを狂的なキモオタであると思い込んでニュース記事を読んでいた私は、まずはじめに彼らを憐れんだのだった。私はドルオタだが、しかし、彼らの犯行について、アイドルへの同情はない。私はアイドルという存在に心を寄せるこ…

ままならないままうつくしいまま――川端康成「生命の樹」

たとえば、バイトの出勤前に憂鬱な気分を抱きながら読むと面白い小説、職場へ何の連絡もなしに欠勤した後でヤケッパチじみた倦怠を覚えながら読むと面白い小説、というのがある。要はなんとか踏み止まるところにおいて深まる味わいと、全てを投げ出したとこ…

窪んだ舌を撫でるーー京佳ファースト写真集「Thankyouka!!!」における母乳の匂い

アイドル写真集は無数に流通しているが、アイドル写真展というものは皆無に等しい。少なくとも、あったとして、私は足を運ばない。なぜなら、写真集という媒体は手に触れることができ、写真展ではそうはいかぬからだ。 アイドルという、記号(スター)と生身…